正確に走る

先程の続きで、速度変更地点について説明します。

ラリーでは 「主催者が設定した時間通りにいかに正確に走れるか」を競うと言いましたが、 実際の指示書には「何分で走れ」という指示はあまりありません。
そのかわりに「〜から (平均時速) 何 km/h で走れ」という指示をされます。
この速度変更地点のことを パスコン(パスコントロールポイント, PC) と呼びます。
この指示された速度通りに走れば、 主催者が設定した時間通りに走ることができるというわけです。

ただし、常に指示速度で走れるとは限りません。
公道を使う以上、信号や踏切で止まることもあります。
一般車両もいます。
また、一定な速度で走っているつもりでも、 アクセルの微妙な踏み具合で以外とスピードは上下します。

このため、 ナビゲーターは常に指示速度と自車のアベレージ走行速度が合うように計算し、 ドライバーに「早い、遅い」を指示します。
ドライバーは信号などで遅れた場合は、 速やかに遅れを取り戻すように運転しなければなりませんし、 逆に速度を出しすぎて進みすぎた場合は、 速度を落さなければなりません。
このようにして常に指示速度になるようにし、 リライアビリティ・ランを行ないます。
主催者の指示通りにリライアビリティ・ランができている状態を 「オンタイム (またはオンタイム走行)」といいます。

さて、 「こんな面倒なことをしなくても CP が見えるまで走って、 CP が見えたら止まって時間調整すればいいんじゃないの」 と考える人もあるかもしれません。
しかし、競技規則で CP 発見後の時間調整 (停車、加減速) は禁止されています。
ですので、常に指示速度通りに走らなければなりません。

ここで、指示書で「X 図より 36km/h」となっているとします。
36km/h は 600m/分 になります。
つまり、車が 1 分間で 600m 進めば「オンタイム」ということになります。
もし 50 秒で 600m 進めば、車は 10 秒早く進んでいますし (車が早く進んでいることを 先行している といいます)、 1 分 10 秒で 600m 進めば、車は 10 秒遅れているということになります。
このようにして、 ナビゲーターは先行、遅れを計算し、ドライバーに指示を与えます。
ちなみに、上で述べた早遅時間のことを ファイナルタイム といいます。

さて、以前はこのようにナビゲーターが常に距離計と時計を見比べて、 先行、遅れをドライバーに指示していました。
しかし、現在では一般的に ラリーコンピュータ というものを用いています。
これは距離計 (1m 単位) や時計、 ファイナルタイムの計算機能などが一つになったものです。
ナビゲーターがラリーコンピューターに現在の指示速度を入力すると、 それまでの走行距離から即座にファイナルタイムを計算します。

ラリーコンピュータの例
ラリーコンピュータ
(画像をクリックすると、ちょっとした解説に飛びます)

ただし、ラリーコンピューターがファイナルタイムの計算をしてくれますが、 ラリーコンピューターへの速度の入力を間違えた時や、 ラリーコンピューターだけで処理できない複雑な指示が出た時 (具体例は Nishiyan's ラリーナビゲーター入門 のスペシャルテクニックの項などを参照) などは、 ナビゲーターがファイナルタイムを計算しなければなりません。

このようにして、ナビゲーターは先行、遅れを計算し、 ドライバーに指示を出します。
ドライバーはナビゲーターの指示に従って車を走らせます。
こうして、オンタイム走行をして減点 0 を目指します。

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