赤で書いてある部分は管理人がスタート前に書き入れたものです |
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管理人が実際にナビゲーターで出場した時の指示書です。
指示書には主催者からの指示が書かれています。
競技者はこの指示通りに走らなければなりません。
それぞれの項目について説明します。
指示書にはまず試走の条件が書いてあります。
主催者はラリーを開催する前に、
スタートからゴールまでの全コースの距離を計測します。
この時の計測に使った車両 (試走車)、タイヤの種類やサイズ、
距離を計測した計測器、天候、路面状況などが書いてあります。
次にオドメーター (O.D) とあります。
オドメーター (オドメーターコントロールポイント、
OMCP, OD, MCP)
とは、先程の試走車と競技車の距離計の誤差を補正するための地点です。
車の距離計 (速度計も) はタイヤの回転数で距離を計ります。
13 インチのタイヤを履く軽自動車と15 インチのタイヤの車を比べると、
軽自動車の方がタイヤの外径が小さく、
同じ距離を走るのにより多く回転します。
このため、同じ区間を走っても、
軽自動車の方が距離が多く出る傾向があります。
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径の小さいタイヤの方がより回転する = 同じ距離を走っても距離が多く出る |
同様の理由で、
同じ車でも新品のタイヤを履いた時と使い込んだタイヤを履いた時では、
(削れて外径が小さくなっているので)
使い込んだタイヤの方が距離が多く出ます。
またドライバーの走り方や路面状況の違いなどでも、
同じコースの距離に違いが出ます。
このために基準となる距離を作り、競技車の距離計の補正を行ないます。
この基準点が OMCP です。
この時、補正率 K を次のようにして求めます。
補正率 K = (競技車の OMCP までの距離) ÷
(試走車の OMCP までの距離)
これ以後、試走車と競技車との間の距離は
(競技車の距離) ÷ K として補正します。
この指示書ではスタートから OMCP まで 21.867km でした。
競技車の計測した距離が 21.000km とすると、
補正率 K は K = 21.000 ÷ 21.867 = 0.960 となります。
競技車の計測距離をこの K で常に割れば、試走車の計測距離が求められます。
OMCP まではこの補正ができていないので、
先程のコマ図の距離と実際の計測距離には違いが出ます。
ですので、OMCP までは
ミスコース (コースを間違えること)
に十分注意しなければなりません。
指示書にはスタート時刻と各車のスタート間隔が書かれています。
仮に自分がゼッケン 10 (10 号車) だとすると、
スタート時刻は 7:10 になります。
「1 号車が 7:01 スタートで自分はゼッケン 10 だから自分のスタート時間は
7:01 + 10 = 7:11」とやるのは
間違いです
(指を折って数えてみましょう)。
次に再スタート時刻が指示されています。
ラリーは長丁場ですので、途中で休憩や車両整備のための時間
(サービス)
が入ることがあります。
また交通事情などにより、競技車の隊列を整え直すこともあります。
このような時に再スタート時刻を指定されることがあります。
この場合ですと、1 号車はコマ図の 38 図を 9:21,
50 図を 11:11, 65 図を日付が変わった 0:41 にスタートします。
時間走行
は「ここからここまでを何分で走行しなさい」という指示です。
実は国内ラリーの場合、「何分で走れ」という指示よりも
「何 km/h で走れ」という指示が一般的です。
このような「何分で」という指示は、
交通量の多い道路 (幹線道路など) を通過する時や、
通過区間で道路工事などをしていて、
リライアビリティ・ランをすると一般の交通に悪影響が出る場合や、
リライアビリティ・ランができない区間がある場合に指示されます。
ノーチェック区間
は文字通り
CP が無い区間
のことです。
これも交通事情等によって、
リライアビリティ・ランをすると一般の交通に影響が出そうな場合に指示されます。
なお、
時間走行区間もノーチェック区間になります。
これらの区間では一般の交通の邪魔にならないよう、
交通の流れに乗って速やかにその区間の終わりまで移動し、
そこで時間を調整します。
(この指示書では消してありますが) 連絡先は緊急時
(コースアウトして怪我をした、ミスコースをして復帰できなくなった等)
の場合の連絡先です。
主催者の連絡先と救急病院の連絡先が書いてあります。
以上指示書についてざっと説明しました。
残った「速度変更地点」については次のページで説明します。